筋肉痛のメカニズム ~炎症・発痛物質が痛覚神経を刺激する~

 筋肉の痛みと聞いてすぐに思いつくのは、「筋肉痛」 です。
 激しい運動をした後に襲って来る、あの痛みです。

 筋肉痛は、筋肉に対して過大な負荷が加わることが原因です。
 筋肉は使い過ぎると筋肉の細胞(筋線維)が壊れてしまうのです。

 肉離れなどの大きなケガでなくても、筋肉を酷使すると微小な損傷が生じます。
 傷ついた筋肉を修復しようと多量の血液(白血球など)が集まり、炎症が起こります。
 炎症が起こる際に発痛物質が生じ、それが痛みを引き起こす刺激になります。
 →記事:「痛みを引き起こす『発痛物質』 ~トウガラシは辛くて痛い!~」

 筋肉痛のキッカケは、激しい運動やスポーツだけではありません。

 転倒や交通事故など、自分の意志に反して強い力が外から加わることや
 行楽や日曜大工など、不慣れな運動・作業も筋肉を傷める原因になります。

 また、筋肉を強く押したり揉んだりすることも痛みのキッカケになります。
 食肉であれば叩いたり揉んだりすると筋が切れて柔らかく美味しくなります。
 しかし生きた人間の筋肉が傷つくと、炎症(もみ返し・もみ起こし)が生じます。

 ちなみに筋肉痛って、運動をした数日後に起こりますよね(^^?
 そのタイムラグは、筋肉を損傷してから修復が進むまでの時間差だそうです。

 筋肉の炎症・修復が終わると、壊れる前の筋肉よりも太く大きくなります。
 筋トレで筋肉が肥大するのは、この破壊と修復のメカニズムを利用したものです。
 わざと筋肉痛が起こるくらい運動しないと、筋肉は強くならないのですね(^^;

 →次記事:「筋肉のコリと痛み ~硬くなった筋肉は痛みの予備軍~」

筋肉のコリと痛み ~硬くなった筋肉は痛みの予備軍~

 筋肉は縮んだり・ゆるんだり、収縮と弛緩をすることで、骨・関節を動かしています。
 スムーズに動けるのは、いくつもの筋肉が協調・連動して収縮・弛緩するおかげです。

 筋肉の柔軟性が低下して十分に収縮・弛緩できなくなった状態が 「コリ」 です。
 コリは筋肉が硬くなっている状態です。

 筋肉が凝ってくると、つっぱり感、締め付けられ感、重だるさなどの症状が出てきます。
 筋肉がうまく収縮・弛緩しづらくなるので、関節を動かせる範囲が狭まってきます。
 肩こりでは肩や首が動かせにくくなったり、肩が詰まる感じや重苦しくなったりします。

 実は、筋肉のコリ自体は痛みの原因ではありません。
 たとえ筋肉が硬く凝っていても、痛みも何も感じない、無症状の人もいます。

 しかし柔軟性が低下して硬くなっている筋肉は、痛みの予備軍になります。
 硬い筋肉を無理やり動かすと、筋肉に過負荷が加わって痛みを発します。

 ストレッチをすると、筋肉が突っ張って軽い痛みを感じますよね。
 このまま引き伸ばされたら筋肉が切れるかも…という損傷に対する警告反応です。
 →記事:「痛みを感じるメカニズム ~火災警報器と仕組みは一緒~」

 筋肉は身体を動かすことなく、じっとしていると柔軟性が低下していきます。
 同じ姿勢をし続けるなど、運動不足によって筋肉は硬く凝ってくるのです。

 筋肉のコリは、運動不足になりがちな現代の様々な生活場面で発生します。

 PC・スマホを見続けることは、首や肩の筋肉のコリを招きます。
 デスクワークなど長時間座り続けると、腰や股関節、脚の筋肉が硬くなってきます。

 硬くなった筋肉は無理に動かすと痛く、動かさないと痛くありません。
 しかし痛みを恐れて動かさないでいると、さら硬くなる…悪循環に陥りがちです。

 寝起きの動きはじめが痛いのは、長時間の安静で筋肉が硬くなっているからです。
 痛いながらも動いていると徐々に筋肉の柔軟性が戻って、痛みが引いてきます。

 筋肉の痛みを治すには、無理のない範囲で徐々に動かしていくことが重要です。

 →次記事:「筋肉とむくみ ~筋肉は血液・リンパ液の還流を促すポンプ~」

筋肉とむくみ ~筋肉は血液・リンパ液の還流を促すポンプ~

 立ち仕事や座りっぱなしが続くと、だんだんと足が浮腫んでくる…。
 足がむくむと靴下のゴム跡がついたり、靴やブーツが窮屈になってきます。

 そんなむくみは、血液中の水分(間質液・リンパ)の流れが滞り溜まっている状態です。

 心臓から押し出された血液は、動脈・毛細血管を通って全身に送られます。
 酸素や栄養に富んだ血液中の水分が毛細血管から染み出て細胞に届けられます。
 染み出た水分・リンパ液は、9割が静脈、1割がリンパ管に入って心臓へ戻ります。

 心臓には血液を全身に送り出すポンプの役割があります。
 しかしながら、隅々に行き渡った血液・リンパ液を汲み上げるだけの力はありません。
 血液・リンパ液を心臓に戻すポンプの役割は、「筋肉」が担っているのです。

 身体を動かすことで、筋肉は収縮・弛緩を繰り返します。
 筋肉の収縮・弛緩で静脈・リンパ管が刺激され、血液・リンパ液の流れが促されます。
 収縮・弛緩を繰り返す筋肉がポンプのように血液・リンパ液を心臓に送っているのです。

 ところが、身体をあまり動かさないでいると、筋肉のポンプ作用が十分に働かなくなります。
 静脈・リンパ管の流れが悪くなり、毛細血管から染み出たリンパ液が滞留してしまいます。

 流れることが出来ず滞留してしまったリンパ液が、浮腫(むくみ)の正体です。
 滞留したリンパ液が、筋肉や皮膚の細胞の隙間にあふれている状態が浮腫なのです。

 とくに足のリンパは重力に逆らって心臓に戻らなければならないので滞留しがちです。
 立ち仕事や座業で足の動きが少ないと、足の筋ポンプ作用が低下して浮腫んできます。

 また、筋肉が硬く凝っている場合も、筋肉のポンプ機能が低下して浮腫んできます。
 筋肉が十分に収縮・弛緩せず、静脈・リンパ管への刺激が弱まってしまうからです。
 →前記事:「筋肉のコリと痛み ~硬くなった筋肉は痛みの予備軍~」

筋・筋膜性疼痛症候群(MPS) ~慢性痛になりやすい筋肉の痛み~

 骨折や感染症、腫瘍、痛風、リウマチなどの病気でない場合、
 首や肩、膝や足腰などに感じる痛みは 「筋肉の痛み」 です。
 たとえ 「骨の変形」・「神経の圧迫」 が見つかっても、痛みの原因ではありません。

 誰しも加齢とともに骨は変形するもので、変形は痛みが出る前から起きています。
 私も頚椎が変形して神経を圧迫しているそうですが、痛くも痒くもありません(^^♪
 そもそも、神経が圧迫されていても、痛みを感じることはありえません。
 →記事:「神経の圧迫で痛みが!?~頚椎症・腰椎症・椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症~」

 あなたの痛みが筋肉の痛みかどうか、自分で確かめられる方法があります。

 痛い動作・姿勢をしながら、痛む部位の周辺を広くあちこち指で押さえてください。
 苦痛を感じる点、いつもの痛みが増悪する点があれば、そこが痛みの原因です。
 →記事:「筋肉痛のメカニズム ~炎症・発痛物質が痛覚神経を刺激する~」
 →記事:「筋肉のコリと痛み ~硬くなった筋肉は痛みの予備軍~」

 触診すれば分かるのに、画像検査ばかりで患者さんの身体を触らない。
 画像や数値という客観的なものばかりを判断材料にするという教育の問題か、
 検査をしないと診療報酬を得られないという医療制度の問題かもしれません。

 検査で異常があれば、骨を削ったり、神経の圧迫を解除する手術を勧められ
 もし異常が無ければ、痛みは 「気のせい」・「精神的なもの」 だと言われます。
 いずれにせよ、適切な治療を受けられず、痛みがこじれて慢性化して行きます。

 また、痛みを感じ続けると精神的にも参ってきて、不眠や抑うつなどの症状や
 自律神経を介して、食欲不振や便秘など新たな身体症状が引き起こされます。
 →カテゴリ:「ストレスと自律神経」

 そんな筋肉の痛みを発端とする様々な症状を 「筋・筋膜性疼痛症候群」(MPS) と言います。
 「痛み」 だけでなく、「シビレ」などの異常感覚を生じさせることがあります。

  →カテゴリ:「ストップ!慢性痛」
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はりきゅう中村@大阪

Author:はりきゅう中村@大阪

 心身相関の考えから、身体の健康とメンタルヘルスに取り組んでいます。より簡単・安全で、より効果的なセルフケア(家庭治療)を紹介しています。
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