井穴刺激のやり方 ~刺絡・お灸・円皮針・ピソマ~

 書店に行けば、ツボ関連の本が多数並んでいます。
 便秘に効くツボとか、むくみに効くツボとか、いろいろ紹介されていますね。
 しかし、そのツボを押さえたところで思い通りの効果は、なかなか得られにくいものです。
 そもそも、ツボの位置を正しく探すことすら難しいかと思います。

 数あるツボの中で、能書き通りの効果が出やすいツボはとても貴重です。
 そんなありがたいツボに、井穴(せいけつ)と呼ばれる指先のツボがあります。
 ツボの位置も分かりやすいので、一般の人でも正確にツボを刺激することが出来ます。
 →カテゴリ:「井穴刺絡療法」

 【井穴の位置】
 井穴(せいけつ)とは、指先の末端にあるツボのグループ名で、手足の爪の際にあります。
 手のツボはH1~H6、足のツボはF1~F6 という記号番号が振り付けられています。
 「H」 は、手(Hand)。 「F」 は、足(Foot) という意味です。
   手足の井穴図手足の井穴図
 井穴(指先のツボ)の正確な位置は、爪の縦線(赤)と、横線(青)との交点です。
 爪が丸みを帯びている人は、爪の横と縦の最も出っ張った点の接線の交点になります。
 50円玉の穴くらいの範囲内であれば、少々のズレは気にしないでOKです。
   井穴の位置井穴の位置

 【井穴の刺激方法】
 指先のツボ、井穴(せいけつ)の効果をより確実に得るためには、
 「刺絡(しらく)」 や 「円皮針(えんぴしん)」、「お灸」、「ピソマ」 などの刺激方法があります。

 世間で流行っている 「爪もみ」 は、井穴を指でギュッとつまんでモミモミする方法です。
 しかし残念ながら、爪もみでは治療効果は期待できません。
 爪もみで効いたら非常にラッキー♪だったと思ってください(^^;

 効果で言うなら刺絡(しらく)が最大ですが、刺激方法が少々めんどくさいです(^^;
 しかし、頑固な症状に確実に効かせたいのであれば刺絡がオススメです。

 【いつ効くか?】
 井穴刺激では大半の場合、刺激した直後に症状の変化・改善がみられます。
 刺激前後で症状の把握(痛み、可動域制限、呼吸の浅深など)をすれば実感できます。
 直後効果の無い場合は、5回(毎日5日間)井穴刺激してから有効/無効を判断してください。
 →カテゴリ:「ツボの効果の確かめ方」

 それでは、「刺絡」、 「円皮針」、「お灸」、「ピソマ」 での井穴刺激を紹介していきます。
 あなたが出来そうな刺激方法を選んでセルフケアしてくださいね^^

 →記事1:「円皮針による井穴刺激のやり方」
 →記事2:「お灸による井穴刺激のやり方」
 →記事3:「ピソマによる井穴刺激のやり方」
 →記事4:「井穴刺絡のやり方」

円皮針による井穴刺激のやり方 ~井穴円皮針(せいけつえんぴしん)~

 一般の人でもセルフケアで効果を出しやすいツボ治療が、井穴(せいけつ)への刺激です。
 →前記事:「井穴刺激のやり方 ~刺絡・お灸・円皮針・ピソマ~」

 まずは、円皮針(えんぴしん)による井穴刺激のやり方を説明します。

 【円皮針の選び方】
 井穴(=指先のツボ)への円皮針は、刺激が強いほどよく効きますが、痛みも強くなります(涙)
 主に0.6mm(イエロー)の円皮針を使いますが、男性など指の太い人は0.9mm(グリーン)、
 過敏な人や子どもさんには0.3mm(オレンジ)の円皮針が良いかもしれません。
 →記事:「円皮針 セイリンのパイオネックス」
 
 【井穴円皮針のやり方】
 あなたの症状に見合った指先のツボ井穴に、円皮針を真上から垂直に貼るだけです。
 貼り付けた上から トン・トン♪モミモミ♪ して2~3分間ほど刺激を加えてください。

 円皮針を貼る(刺す)瞬間チクッとするかもしれませんが、モミモミしてる間は痛くありません。
 もし刺激中も痛みがある場合は、円皮針を外して貼り直してください。
   手足の井穴図手足の井穴図
 井穴の詳しい位置は、爪の縦線(赤)と、横線(青)との交点です。
 爪が丸みを帯びている人は、爪の横と縦の最も出っ張った点の接線の交点です。
   井穴の位置井穴の位置
 だいたい、50円玉の穴くらいの範囲に円皮針の中心(鍼)が当たるように貼ればOKです。
 その位置に貼ると、テープの4分の1くらいが爪にかかる状態になるかと思います。

 【セルフケアの頻度】
 症状があるときは毎日のように刺激、改善してきたら頻度を空けてフェードアウトしてください。
 症状が強いときは1日何回でも井穴刺激してもOKです。

 円皮針を貼り付けたままでも構いませんが、ときどきトントンしてやると効果が持続します。
 指先は不衛生になりがちなので、1日1回以上貼り替えてください。
 もし途中で痛みや痒みなど何か異常を感じた場合は、速やかに剥がして中止してください。

 【注意事項】
 他人様への施術には、たとえ無償で施しても、国家資格(はり師)の免許が必要です。
 セルフケアをする場合は免許は不要ですが、あくまで「自己責任」でお願いします。

 →次記事:「お灸による井穴刺激のやり方 ~井穴灸~」

お灸による井穴刺激のやり方 ~井穴灸(せいけつきゅう)~

 一般の人でもセルフケアで効果を出しやすいツボ治療が、井穴(せいけつ)への刺激です。
 →記事:「井穴刺激のやり方 ~刺絡・お灸・円皮針・ピソマ~」

 井穴円皮針に続いて、お灸による井穴刺激のやり方を説明します。
 →前記事:「円皮針による井穴刺激のやり方 ~井穴円皮針(せいけつえんぴしん)~」

 お灸が好きな人や、鍼に抵抗がある人にオススメです。
 煙と匂いが気になる人や、鼻炎や喘息など呼吸器系の弱い人には向きません。

 【お灸の選び方】
 井穴(=指先のツボ)へのお灸は、燃焼温度が高温でないと効果が出せません。
 市販品では、「せんねん灸」 の 最も熱いタイプである 「にんにく」 か、もしくは
 大和漢というメーカーの台座灸「柔(やわら)」 の 最も熱い「強」タイプがオススメです。
 →外部リンク:「【楽天市場】せんねん灸 にんにく」
 →外部リンク:「【楽天市場】」大和漢 柔 灸 強

 【井穴灸のやり方】
 あなたの症状に見合った指先のツボ井穴に、お灸の台座の穴(中心)を貼るだけです。
   手足の井穴図手足の井穴図
 井穴の詳しい位置は、爪の縦線(赤)と、横線(青)との交点です。
 爪が丸みを帯びている人は、爪の横と縦の最も出っ張った点の接線の交点です。
   井穴の位置井穴の位置
 だいたい、50円玉の穴くらいの範囲にお灸の台座の中心(穴)が重なるように貼ればOKです。

 お灸のやり方は、せんねん灸のホームページ 「使用上の注意」 に動画があります。
 リンク先の 「火を使うお灸の使い方」 をクリックして、再生ボタンを押してください。
 →外部リンク:「せんねん灸ホームページ せんねん灸からのお知らせ」

 【セルフケアの頻度】
 症状があるときは毎日のように刺激、改善してきたら頻度を空けてフェードアウトしてください。
 症状が強いときは1日2~3回ほど井穴刺激してもOKです。

 井穴灸は熱さが我慢できなくなったら、たとえ途中でも外してください。
 もし、ひとつ燃え尽きても熱さを十分に感じない場合、同じ場所にもうひとつお灸をします。
 熱くて我慢できなくなるまで何個でも続けてお灸をしてください。

 お灸をした皮膚が茶色く染まるのは、お灸のヤニですのでご安心ください。
 万一、水ぶくれ(ヤケド)が出来た場合、専門医にご相談のうえ、お灸を中止してください。

 火の始末は確実に行い、衣服や床などを焦がさないよう細心の注意を払ってください。

 【注意事項】
 他人様への施術には、たとえ無償であっても、国家資格(きゅう師)の免許が必要です。
 セルフケアをする場合は免許は不要ですが、あくまで 「自己責任」 でお願いします。

 →次記事:「ピソマによる井穴刺激のやり方」

ピソマによる井穴刺激のやり方

 一般の人でもセルフケアで効果を出しやすいツボ治療が、井穴(せいけつ)への刺激です。
 →記事:「井穴刺激のやり方 ~刺絡・お灸・円皮針・ピソマ~」

 手足の指先のツボ 井穴に鍼やお灸をするのは、ちょっと…とお思いのあなたに朗報です!
 →記事:「円皮針による井穴刺激のやり方」  →前記事:「お灸による井穴刺激のやり方」

 円皮針を貼る瞬間にチクッとすることもなく、お灸のように熱くも煙たくもなければ、
 刺絡(→次記事)のように出血させる必要もなく、効果的に井穴を刺激できる方法があります。
 そんな井穴刺激ツールが、技術屋で鍼灸師の長谷川先生の発明品 「ピソマ」(P-Soma)です。

 ピソマは硬化樹脂(プラスチック)で出来た微小突起の集合体のツボ刺激道具です。
 円皮針の鍼の部分がプラスチック製の極小の剣山に置き替えられたような製品です。

 樹脂(プラスチック)製なので、金属アレルギー持ちの人にピッタリです。
 そのほかにも、小さなお子さんや、鍼・お灸に抵抗がある人にも好評です。

 百聞は一見にしかず。 ピソマがどのような代物なのか、下記リンク先をご覧ください。
 →外部リンク:「ピソマ  皮膚考学研究所- ヒフラボ -」

 【ピソマの使い方】
 井穴円皮針のように、あなたの症状に見合った指先のツボ 井穴に貼るだけです。
 貼りつけた上から トン♪トン♪ と、20回以上刺激を加えてください。
   手足の井穴図手足の井穴図
 井穴の詳しい位置は、爪の縦線(赤)と、横線(青)との交点です。
 爪が丸みを帯びている人は、爪の横と縦の最も出っ張った点の接線の交点です。
   井穴の位置井穴の位置
 だいたい、50円玉の穴くらいの範囲にピソマの中心(樹脂部分)が当たるように貼ればOKです。
 その位置に貼ると、テープの4分の1くらいが爪にかかる状態になるかと思います。

 【セルフケアの頻度】
 症状があるときは毎日のように刺激、改善してきたら頻度を空けてフェードアウトしてください。
 症状が強いときは1日何回でもピソマで井穴刺激してもOKです。

 ピソマを貼り付けたままでも構いませんが、ときどきトントンしてやると効果が持続します。
 かぶれ防止のため、長時間(12時間以上)の連続貼付は避けてください。
 もし途中で痛みや痒みなど何か異常を感じた場合は、速やかに剥がして中止してください。

 【ピソマの裏技】
 製造販売元には大変申し訳ないですが、ピソマは再利用可能です!
 円皮針のように刺さらず衛生的な構造なので、テープさえ交換すれば複数回使用できます(^^;

 →次記事:「井穴刺絡のやり方 ~想像以上に痛くありません!~」

井穴刺絡のやり方 ~想像以上に痛くありません!~

 一般の人でもセルフケアで効果を出しやすいツボ治療が、井穴(せいけつ)への刺激です。
 →記事:「井穴刺激のやり方 ~刺絡・お灸・円皮針・ピソマ~」

 指先のツボ 井穴への最も強い刺激方法が、「井穴刺絡(せいけつしらく)」 です。
 「井穴刺絡」 とは、指先のツボ 井穴に出血刺激を加える治療方法です。
 →カテゴリ:「井穴刺絡療法」

 井穴刺絡のメリットは、治療の直後効果の大きさも、効果の持続性も良いことです。
 お灸や円皮針などで効果が無くても、刺絡なら効果が出せることがあります。

 デメリットは、出血させるので清潔な施術・衛生操作に気をつける必要があること、
 そして、刺絡(出血刺激)のやり方が少々難しいので練習が必要なことです。

 できれば専門の先生の治療を受けて、実技指導してもらう方が良いです。
 セルフケアされるときは、もちろん自己責任でお願いします。

 【刺絡に必要な道具】
 1.アルコール綿花
 刺絡を行う部位の皮膚を消毒し、血液を拭き取るために必要です。
 ドラッグストアなどで、「カット綿(化粧用コットン)」 と 「エタノール」 をお求めください。
 割高ですが既製品のアルコール綿もあります。使い切りパックなので便利かもしれませんね。
 →外部リンク:「【楽天市場】 アルコール綿」

 2.刺絡用の鍼
 裁縫針などは、刺すときの痛みが強いわりには出血しないのでNGです。
 プロである はり師は、三稜鍼(さんりょうしん)という鍼を使います。

 セルフケアに使うなら、血糖値測定用の採血用穿刺器具 「ファインタッチ」 がオススメです。
 テルモ社のこの製品が最も痛みが少なく、十分な出血刺激が得られます。
 →外部リンク:「【楽天市場】 メディセーフ ファインタッチ MS-GN02」(穿刺器具本体)
 →外部リンク:「【楽天市場】メディセーフ針(ファインタッチ専用)MS-GN4530」

 注)穿刺器具には針は付属してません。器具本体と使い捨ての専用針の両方が必要です。
   たいていの場合、穿刺器具本体を販売しているお店なら、専用針も販売してます。

 【井穴刺絡のやり方】
 あなたの症状に見合った指先のツボ 井穴を選んで、アルコール綿花で拭きます。
 井穴を鍼で穿刺し、指を絞って30~40回の出血刺激を加えます。
   手足の井穴図手足の井穴図
 井穴の詳しい位置は、爪の縦線(赤)と、横線(青)との交点です。
 爪が丸みを帯びている人は、爪の横と縦の最も出っ張った点の接線の交点です。
 だいたい、50円玉の穴くらいの大きさの範囲で結構です。
 ファインタッチの鍼の長さは、手は 「3」 、 足は 「4」 くらいが目安です。
   井穴の位置井穴の位置

 井穴刺絡の効果を出す上で最大の注意事項は、毎回十分な出血刺激量を得ることです。
 残念ながら、出血刺激量が足りないと効きません(涙)

 福岡井穴刺絡研究会 ぎんなん治療院の先生が、動画をアップして下さいました。感謝!
 
 上記の動画では左手の薬指H5の井穴刺絡ですが、ほかの指先のツボも同様のやり方です。

 治療効果を確実に出すために必要な1回出血刺激量は、上記の動画くらいの量が必要です。
 絞り出した点状の血液が、大きな玉になって垂れ落ちてくる程度の出血量です。(1:54)

 垂れるくらいの出血量を1回とし、ひとつのツボにつき合計30~40回の出血刺激を加えます。
 (上記動画では説明のため7回しか出血させていませんが、合計30回ほど行ってください)

 足湯や手湯で真っ赤になるくらい温めてから刺絡をすると、十分な出血量が得られます。
 もし途中で、血の出が悪くなったら、もう一度ファインタッチで同じ場所を刺してください。

 【井穴刺絡の頻度】
 井穴刺絡の効果は、たいていの場合、刺絡を行ってすぐに現れます(8割くらい)。 
 敏感な人では刺絡をしている最中に症状の改善を実感できることもあります。

 直後効果が無い場合でも、最初の1週間で5回(5日)続けざまに井穴刺絡を行います。
 それでも改善がなければ無効と判断して、別のツボを試すなどします。

 改善するものの、まだ症状が残っている/ぶり返す場合は、継続して井穴刺絡を行います。

 2週間目は、2日に1回(週に3回くらい)。
 3週間目は、3日に1回(週に2回くらい)。
 4週間目は、4日に1回(週に1回くらい)。
 あとは症状が出たときに随時です。

 この治療頻度はあくまで目安です。
 症状の辛い日は、間隔を詰めて治療して構いませんし、調子が良ければ空けてください。
 症状が解消&再燃もなければ、そこで終了してください。

 【衛生管理】
 ファインタッチ器具本体は、あくまで個人専用で使用してください。
 たとえ家族でも、使い回しはしないでください。

 ファインタッチの針は、一度の治療が済んだら捨てて下さい。
 朝に治療して、同日の夜に治療をする場合でも、その度に針を交換してください。

 もし万一、鍼を刺した場所が赤く腫れて痛むことがあれば、刺絡を中止してください。
 そして、すぐに医師に相談してください。

 ご自宅でのセルフケアで出たゴミは、お住まいの自治体のルールに従って処理してください。
 自治体によって処理方法が全く異なりますので、直接お尋ねください。
 →外部リンク:「在宅医療廃棄物の取扱いガイド.PDF(日本医師会発行)」

 出血刺激のさせ方のコツは、こちらの動画もご覧下さい。
 
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はりきゅう中村@大阪

Author:はりきゅう中村@大阪

 心身相関の考えから、身体の健康とメンタルヘルスに取り組んでいます。より簡単・安全で、より効果的なセルフケア(家庭治療)を紹介しています。
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