線維筋痛症のセルフケア ~まずは痛みを理解する~

 線維筋痛症は、全身あちこちの耐え難い痛みを感じる病気です。
 首や肩、腕や手、背中や腰、足など、さまざまな場所に痛みが生じます。
 痛み以外にも、シビレやこわばりを感じることもあります。

 そのような痛みを訴え、苦しみと不安を抱えて、あちこちの病院で診てもらっても
 血液検査やMRIなどの画像検査などでは、とくに異常は見つかりません。
 それでも痛みを訴えようものなら、気のせい・ストレスなどと片付けられます。

 線維筋痛症に詳しい医師や専門病院を受診して、ようやく診断が付けばマシな方です。
 自分から専門家を尋ねないと診断が下らない、まだまだ周知されていない病気です。

 あなたの痛みが原因不明・異常なしと言われるのは、痛みは目に見えないからです。
 痛みは、血液検査や画像検査など、数値や写真で他人が判断できるものではありません。
 損傷や炎症などの肉体の異常が無いから 「原因不明」 だと言われてしまいます。

 そのような「異常」や「原因」がなくても、痛みを感じてしまう病気が線維筋痛症なのです。
 線維筋痛症を治すには、なぜ痛みを感じるのかを理解することが重要です。
 あなたの身体がどうなっているのかを理解することが、症状の改善につながります。

 なぜ痛みが続くのでしょうか? どうすれば良くなるのでしょうか?

 →次記事:「線維筋痛症は全身の痛覚過敏症 ~痛みに敏感な痛がり屋さん~」

線維筋痛症は全身の痛覚過敏症 ~痛みに敏感な痛がり屋さん~

 線維筋痛症は、損傷や炎症などの原因がないのに全身に痛みを感じる病気です。
 肉体の異常がなくても痛みだけを感じてしまう、全身の痛覚過敏症です。
 →前記事:「線維筋痛症のセルフケア ~まずは痛みを理解する~」

 痛みは本来、肉体の損傷・炎症を知らせてくれる警告信号です。
 熱や煙を検出して警報音を鳴り響かせる火災警報器のような役割です。
 →記事:「痛みを感じるメカニズム ~火災警報器と仕組みは一緒~」

 しかし火事ではないのに警報ベルが鳴るのは、火災警報器の故障です。
 線維筋痛症は、原因がなくても痛みを感じる、痛み認知システムのエラーなのです。

 線維筋痛症では、本来ならば痛みを感じない程度の弱い刺激でも、痛みを感じます。
 身体に軽く触れたり、ちょっと擦れたり、軽く押さえるだけで痛みを感じてしまいます。
 顔を洗ったり、衣服を着脱したり、椅子に座って接するだけでも、痛みが生じます。

 痛み刺激を検出するセンサーは、痛覚神経の末端に付いています(ポリモーダル受容器)。
 皮膚や筋膜などに豊富に存在し、身体に損傷や炎症が起こると電気信号を発生させます。
 センサーで発生した電気信号は痛覚神経を伝って脳へ送られ、脳が痛みを感じます。

 痛みが長引くと、センサーの個数が増殖したり、痛覚神経が皮膚表面にまで伸びてきます。
 熱煙検出器を増設したり、設置位置が天井から目の高さにまで降りてくるようなものです。
 痛みが続くとセンサーが過敏になって、痛み刺激を検出しやすくなってしまうのです。

 すると、線香やロウソクの火や煙にも反応して火災警報器が作動するようになります。
 線維筋痛症は、痛み刺激を過剰に検出してしまう状態なのです(末梢性感作)。

 線維筋痛症の診断基準にもなる「圧痛点」とは、痛み検出センサーが過敏な点です。
 正常では痛みを感じない程度の強さで押圧しても、痛みを感じる点が圧痛点です。

 →次記事:「広がる痛みの犯人はグリア細胞! ~痛み信号を拡散させる~」

広がる痛みの犯人はグリア細胞! ~痛み信号を拡散させる~

 線維筋痛症と診断されるまでの経過を発症まで辿ってみると、
 おそらく最初は身体のどこか1部位だけの痛みだったことでしょう。
 怪我や運動、酷使などで筋肉を傷めた事がキッカケかもしません。

 その痛みが次第に他の部位にも広がり、線維筋痛症の状態になったかと思われます。
 なぜ痛みが全身に広がり、それまで何ともなかった部位までも痛むようになるのでしょうか。

 痛み感覚は、損傷や炎症などの刺激が痛覚神経を伝って脳が認識することで生じます。
 たとえば手と腕の痛み刺激は、異なる痛覚神経を伝って、脳の異なる部位に届けられます。

 手だけを傷めた場合は、手だけに痛みを感じ、腕は痛くないのが正常です。 
 しかし手だけでなく、腕にも痛みが広がって感じることがあります。

 広がる痛みの犯人は、痛覚神経や脳細胞を取り巻く 「グリア細胞」 です。
 グリア細胞は神経細胞や脳細胞の隙間を埋めるだけの存在だと考えられていました。

 グリア細胞は、痛み刺激がスムーズに伝わるように交通整備を行っています。
 痛みを感じやすくさせて、損傷・炎症などの異常をいち早く知らせる役割を担っています。
 異常を私たちに気づかせ、回避や安静を促して治癒を助けるはたらきがあります。

 しかし痛みが治まらず長引いてくると、このグリア細胞が悪玉に変化してきます。
 脳や神経を敏感にさせ、少しの刺激でも痛みを感じる痛覚過敏を引き起こします。

 また、グリア細胞同士はつながり合って、ネットワークで情報をやりとりしています。
 痛み刺激が伝わる際、その情報を周辺のグリア細胞にも拡散させてしまいます。
 これによって、痛み刺激が伝わる神経回路に混線が生じてしまいます。

 手からの痛み刺激が腕の痛覚神経を伝わって、腕に痛み感覚を生じさせたり、
 右手の痛み刺激が左手の痛みとして感じられたり、触覚刺激が痛みを生じさせます。

 そうやって最初の痛みが上下左右全身に広がってしまったのが線維筋痛症なのです。

 線維筋痛症の痛みを改善させるには、過敏な神経・脳を鎮めることが重要です。
 そして、実際に痛み信号を発している筋肉の治療が必要になってきます。

 →次記事:「線維筋痛症に効くツボ その1 ~脳・神経の痛覚過敏を抑えます~」

線維筋痛症に効くツボ その1 ~脳・神経の痛覚過敏を抑えます~

 線維筋痛症は、痛みを伝え感じる神経や脳が過敏で、痛みを感じやすい状態です。
 痛み刺激を検出するセンサーが過敏に反応して、わずかな刺激でも痛み信号を発します。
 また、痛み信号が拡散して本来の痛みよりも広い範囲に痛みを感じてしまいます。
 →記事:「線維筋痛症は全身の痛覚過敏症 ~痛みに敏感な痛がり屋さん~」
 →前記事:「広がる痛みの犯人はグリア細胞! ~痛み信号を拡散させる~」

 線維筋痛症のツボ治療は、まず神経や脳の過敏性を鎮めて、過剰な痛みを抑えます。
 全身の痛覚過敏に効くツボは、手足の薬指H5・F5です。
 痛みを感じる場所がどこかに関わらず、手足が痛くなくても薬指のツボ刺激です。
   手足の井穴図手足の井穴図
 これら4つのツボに、刺絡をするか、円皮針やピソマを貼るか、お灸をします。
 →カテゴリ:「井穴刺激のやり方」

 痛みに過敏なので、ピソマ・円皮針などソフトな刺激から始めると良いと思います。
 円皮針なら0.3mm(オレンジ)でも十分かと思われます。

 薬指のツボ刺激で痛覚過敏が改善すると、痛む範囲が小さくなってきます。
 触れたり擦れたりするだけで痛かったのが、普通に押さえられるようになってきます。

 痛みの感覚が本来に戻ってきたら、次は痛みを発する部位の治療をしましょう。

 →次記事:「線維筋痛症に効くツボ その2 ~患部の痛みをやさしく消す!~」

線維筋痛症に効くツボ その2 ~患部の痛みをやさしく消す!~

 痛覚過敏が鎮まると、全身の痛みが消えるか、痛みの範囲が狭まってきます。
 →前記事:「線維筋痛症に効くツボ その1 ~脳・神経の痛覚過敏を抑えます~」

 次は、残っている部位の痛みのツボ治療を行います。
 複数の部位に痛みがある場合、最も強く痛みを感じる部位からはじめます。

 痛みを感じる場所の周辺を広くあちこち押さえてください。
 もし身体を動かして痛みが変化するなら、一番痛い格好のままで痛い場所を探ります。
 痛みを感じる範囲を同じ強さで押さえて、最も痛い点がツボです。
 →記事:「円皮針の使い方 ~ツボの見つけ方・探し方~」

 見つけ出したツボに円皮針を貼ると、その部位の痛みが消えます。
 →カテゴリ:「円皮針の使い方」

 複数部位に痛みがあると、次は鎮痛した部位以外の場所に痛みを感じるようになります。
 これは痛みが移動したのではなく、2番目の痛みが分かるようになっただけです。
 →記事:「痛みが移動する?? ~痛み感覚は脳の気の向くまま・勝手気まま~」

 今度は2番目の痛みを、同様にツボを探し出して円皮針を貼ります。
 そうやって残っている痛みを次々と治療して鎮痛させてください。

 円皮針は毎日貼り替えてください。交換の度に、押さえて最も痛い点に円皮針を貼ります。
 前日に貼った点と全く異なっていても構いません。
 そのときどきで貼る場所が変わるのは、前に貼った場所の痛みが治っている証拠です。
 
 おそらく身体のあちこちに痛みを感じるので、たくさん円皮針を貼りたくなると思います。
 しかし、ここぞ!という点を選んで、出来るだけ少ない数にとどめてくださいね。

 患部の筋肉の痛み治療と、痛覚過敏になっている脳や神経の治療。
 その両方の治療を行って、痛みが改善している状態を出来るだけ長く保ちます。

 鎮痛した状態を維持していると、やがて痛みを気にしなくて済むようになります。
 痛みを忘れることが出来たら、線維筋痛症は克服できます。

 あなたに合った方法で、痛みを感じない、痛みに縛られない時間を設けてください。
 →カテゴリ:「ストップ!慢性痛」

 痛みから解放されますように!
 →カテゴリ:「症例:線維筋痛症」
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はりきゅう中村@大阪

Author:はりきゅう中村@大阪

 心身相関の考えから、身体の健康とメンタルヘルスに取り組んでいます。より簡単・安全で、より効果的なセルフケア(家庭治療)を紹介しています。
 また、病気を予防・回復させる生活改善も提案しています。
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