顔の痛みのセルフケア ~顔面痛は顔面神経痛ではありません!~

 顔に痛みを感じると、「顔面神経痛かな?」とお思いでしょうが、実は違います。
 「顔面神経」 は、主に顔の筋肉(表情筋)を動かすはたらきがある神経です。
 顔の痛みを感じる神経では無いので、顔面神経痛という病気はありません。

 ちなみに、顔の感覚(痛みや温度、触圧覚)を伝えるのは、三叉神経(さんさしんけい)です。

 顔には、皮膚・筋肉・眼・鼻・口などさ、まざまな臓器が集まっています。
 顔に痛みを引き起こすトラブルには、色々な原因があります。

 頭痛というのも、場所によっては顔面の痛みになります。 →カテゴリ:「頭痛・片頭痛」
 顎関節の周辺の痛みも、顔面痛のひとつです。 →カテゴリ:「あごの痛み・顎関節症」
 ヘルペス・帯状疱疹が顔に出ると、顔面痛になります。 →カテゴリ:「ヘルペス・帯状疱疹」
 緑内障などの眼の病気でも、顔(目の周辺)に痛みが出ます。
 鼻炎など鼻の病気でも、眉間やおでこに痛みが出ます。 →カテゴリ:「鼻炎・副鼻腔炎」
 虫歯や歯周病で、歯や歯茎が痛いというのも、立派な(?)顔面痛です。

 ここでは、そのような病気が原因でない顔面痛、いわゆる三叉神経痛について、
 なぜ発作的に激痛が走るのかの説明とツボ刺激によるセルフケアを紹介していきます。
 →次記事:「三叉神経痛のメカニズム ~三叉神経に異常なし!~」

三叉神経痛のメカニズム ~三叉神経に異常なし!~

 顔の痛みや熱さなどを感じる神経は、顔面神経ではありません(^^;
 →前記事:「顔の痛みのセルフケア ~顔面神経痛ではありません!~」

 顔の感覚を伝える神経は、三叉神経(さんさしんけい)といいます。
 文字通り、根本の途中から3本に分かれて、おでこ、ほほ、下あごに分布しています。
 目や鼻など、ほかの病気がないときの顔面痛を、三叉神経痛といいます。

 「神経痛」というと、なんだか神経が悪さをして痛みを引き起こしている印象を受けますよね。
 しかし神経痛は、「痛みを感じる神経が痛みを感じている状態」のことです。
 つまり正常です。もし痛みや熱さ、触覚を感じなくなったら異常(マヒ)なのです。
 三叉神経痛も、三叉神経のはたらきに問題はありません。

 三叉神経痛の発作を引き起こす刺激には、非常に様々なものがあります。
 洗顔や洗髪など、顔や髪の毛に直接触れたり、食事、会話などで顔を動かしたり、
 冷たい風や騒音、光、臭いなどの五感への刺激が、神経痛発作の引き金になります。

 三叉神経痛は、血管による三叉神経の圧迫が原因だとされていますね。
 しかし、そもそも、神経は圧迫されても痛みが出ません。
 もし相当強くに三叉神経が圧迫されるとマヒが生じ、顔を触っても何も感じなくなります。
 →記事:「椎間板ヘルニア 頚椎症・腰椎症のウソ 神経の圧迫で痛みは出ません!」

 顔面部や五感への刺激によって、急に神経が圧迫されてることなんて無いですよね(^^;
 いや、もし仮に百歩譲って、顔を触ったり動かしたりすることで神経が圧迫されるとしても、
 風や音、光や匂いの刺激で、神経が圧迫されることなんて有り得ません!

 これらの刺激によって反応するのは、自律神経、とくに交感神経です。
 自律神経についてご存じでない方は、先にこちらをご覧ください。
 →カテゴリ:「自律神経のはたらき」

 さまざまなストレスを受けて交感神経がはたらき過ぎを起こすと、血管が収縮します。
 血管が収縮すると血流が悪くなって酸欠を起こし、発痛物質が作られます。
 これが三叉神経痛の電撃様の痛み発作のメカニズムであると考えるのが妥当です。
 →記事:「痛みを感じるメカニズム」

 一時的に血管が収縮して痛みが走っても、やがて血管が広がって血流が回復します。
 血流が戻って酸欠がなくなると、痛みは消えてしまいます。
 三叉神経痛の痛みのメカニズムが分かれば、治療方法も見えてきます。
 →次記事:「三叉神経痛に効くツボ ~顔面の血流を良くします~」

三叉神経痛に効くツボ ~顔面の血流を良くします~

 三叉神経痛の発作的に起こる鋭い電撃様の痛みは、一時的な血流悪化による痛みです。
 ちょっとした刺激がキッカケで、顔面部の血管が収縮し、酸欠を起こして痛みが出てきます。
 →前記事:「三叉神経痛のメカニズム ~三叉神経に異常なし!~」

 三叉神経痛を治す方法は、ストレス刺激で過剰に収縮してしまう血管をゆるめることです。
 顔面部の血管を収縮させる交感神経のはたらき過ぎを抑えてやれば、痛みは治まります。

 三叉神経痛は、顔面を触ったり動かすと、それが刺激となって発作を引き起こしてしまいます。
 そんなときは、顔と遠く離れた手足のツボ刺激が良く効きます。

 本来は痛みを感じる三叉神経(第1枝・2枝・3枝)それぞれにツボがあります。
 しかし個別のツボを刺激するよりも、全てのツボを刺激することで効果が高まります。

 顔面部の交感神経のはたらき過ぎを抑え、三叉神経痛を治すツボは、
 左右の手の人差し指H6と、足の小指F4のツボです。
 そして、痛い側の手の小指H4と足の人差し指F6のツボです。
   手足の井穴図手足の井穴図
 これらのツボに、刺絡をするか、円皮針を貼るか、お灸をします。
 →カテゴリ:「井穴刺激のやり方」

 H6とF4は、顔面部だけでなく、全身の交感神経のはたらき過ぎを抑える作用があります。
 ですので、これらのツボは、左右両方のツボを刺激してください。
 →記事:「交感神経のはたらき過ぎを抑えるツボ ~心身をゆるゆるにさせます~」

 H4とF6のツボは、痛い側(右の三叉神経痛なら右側)のツボだけ刺激すればOKです。

 顔のツボを直接刺激しなくても、手足のツボだけで効くのが人体の不思議なところです。
 あなたの顔面痛・三叉神経痛が治りますように!
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はりきゅう中村@大阪

Author:はりきゅう中村@大阪

 心身相関の考えから、身体の健康とメンタルヘルスに取り組んでいます。より簡単・安全で、より効果的なセルフケア(家庭治療)を紹介しています。
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