うつ状態・うつ病のセルフケア ~心と身体は表裏一体~

 気分が落ち込む。やる気が出ない。
 そんな「うつ状態」が続いて病院に行けば、「うつ病」と診断されるかもしれません。

 仕事や人間関係で失敗したり、ショックなことがあれば、誰もが 「うつ状態」 になります。
 このうつ状態は決して病気では無く、ある意味正常な反応です。

 「うつ状態」が続いているからと言っても、それが「うつ病」だとは限りません。
 甲状腺などのホルモン異常や認知症などの脳の病気でも、うつ状態になることがあります。 

 本来ならば、うつ状態を引き起こす他の病気で無いことをチェックしなければならないのです。
 しかし、患者さんが訴える自覚症状や問診だけで、うつ病と診断されてしまうことがあります。

 「治療」を始めると、新たな症状(副作用?)が出てきて薬剤が増量・追加されたり、
 断薬しようとすると離脱症状・禁断症状が出たり、後遺症に苦しめられることもあります。

 「うつ」の症状には、睡眠障害や食欲不振、疲労感・倦怠感などの身体症状もあります。

 身体と心はつながっています。 心と身体は表裏の関係です。
 たとえば身体のどこかが痛いときは、なんだか気分も明るくなれませんよね。
 どこか身体の調子が悪ければ、精神的にも辛くなるのは当たり前のことなのです。

 あなたの「うつ状態」は、本当に「うつ病」なのでしょうか??
 そもそも、うつ病とは、身体のどこがどのような状態になっているのでしょうか?

 →次記事:「うつ病とストレス ~うつ病はストレスによる脳細胞の萎縮~」

うつ病とストレス ~うつ病はストレスによる脳細胞の萎縮~

 「うつ病の原因は脳内のセロトニン不足」 という考え方があります(モノアミン仮説)。
 だからセロトニンを増やそう!セロトニンの効きを良くしよう!とするのが薬物治療です。
 しかし、うつ病患者さんの脳内を調べても、必ずしもセロトニンが減っているワケではありません。

 うつ病は、脳の海馬や扁桃体という場所が破壊され、萎縮しているのが原因ではないか?
 抗うつ剤は「脳由来神経栄養因子」を増やして脳細胞の再生を促すのでは?と考えられてます。

 「脳由来神経栄養因子(BDNF)」とは、血管形成や細胞の成長を促すタンパク質のことです。
 脳の血流を増やして栄養を送り込み、脳細胞を修復・活性化させるはたらきがあります。

 実際に、重症なうつ病の人ほど、血液中のBDNF濃度が低いことが分かっています。
 BDNFが少ないということは、脳細胞が萎縮していて、はたらきが落ちているということです。

 脳細胞(海馬)を破壊・萎縮させてしまう原因は、「慢性的なストレス」です。

 ストレスを受けると、それに抵抗するため、副腎や交感神経のはたらきが活発になります。
 遭遇した敵(ストレス)と闘争・逃走する戦闘態勢モードの体調を作り出す正常な反応です。
 →カテゴリ:「ストレスと自律神経」   →カテゴリ:「副腎疲労とアレルギー」

 しかし、慢性的にストレスを受け続けると、副腎からのストレスホルモンが過剰になります。
 ストレスホルモン(コルチゾール)は、BDNFを減らし、脳細胞を萎縮させてしまうのです。

 慢性的ストレス → 副腎機能亢進 → コルチゾール過剰 → 脳細胞萎縮・BDNF低下 → うつ病

 うつ発症のメカニズムを考えると、うつ病を改善させる糸口が見えてくるかもしれません。

 まずは出来る限りストレスから逃れること、ストレスを減らすことです。
 どんな良い治療をしても、それ以上に悪いストレスがあれば改善するのは難しくなります。
 ひとりで悩まず、周囲の人や支援機関に助けを求めて下さい。

 ここでは、ストレスに打ち負かされてしまった脳を回復させる食事、BDNFを増やす運動、
 自律神経や副腎のはたらきを改善させるツボなどの、うつ病のセルフケアを紹介していきます。

 →次記事:「うつ病と低血糖症 ~うつの原因は炭水化物中毒??~」

うつ病と低血糖症 ~うつの原因は炭水化物中毒??~

 やる気が出ない、漠然と不安を感じる、集中力がなくなる、気分が落ち込む…
 →前記事:「うつ状態・うつ病のセルフケア ~心と身体は表裏一体~」

 そんな、「うつ病」と間違えられる病気に、「低血糖症」(血糖調節異常)があります。

 血糖とは血液中のブドウ糖のことで、身体や脳は血糖をエネルギー源にしています。
 血糖は細胞のエネルギー源であるため、常にある範囲内で安定させなければなりません。
 心身の活動に重要な血糖値が下がり過ぎてしまった状態が「低血糖」です。

 低血糖に陥って脳のエネルギーが不足してしまうと、脳は活動を停止しようとします。
 すると意識の低下や、脱力感・倦怠感、不安感や無気力などの症状を引き起こします。

 低血糖になるキッカケのひとつが、糖質(米・小麦・砂糖など)の過剰摂取です。
 過剰摂取と言っても、現代人が普通に食べている糖質の量でも過剰になりかねません。

 たとえば、食パン6枚切り1枚には、角砂糖(1個4g換算)で7個分の糖質(28g)が、
 白ごはん1杯(約150g)には、角砂糖14個分の糖質(56グラム)が含まれています。
 お茶碗1膳分の米飯を食べることは、角砂糖14個をガリガリ囓るようなものです!(驚)

 糖質を短時間に大量に摂ってしまうと、食後の血糖値が急上昇します。
 そして急上昇した血糖値を下げようと勢い余って、低血糖状態に陥ってしまうのです。
 →カテゴリ:「低血糖症と心の病気」

 正常なら、低血糖から脱出するため、血糖値を上げる「副腎」や「交感神経」が活発になります。
 しかし、ホルモン・交感神経のはたらきが弱まっていると、低血糖から抜け出せなくなるのです。
 →カテゴリ:「ストレスと自律神経」   →カテゴリ:「副腎疲労とアレルギー」

 低血糖状態のときに、糖質を摂取すると血糖値が急上昇して一時的に元気になります。
 無性に甘い物が食べたくなり、食べると沈んだ気持ちが急にハッピーになります。
 しかしその後は反動で再び…。

 炭水化物中毒・糖質依存症のあなたの「うつ状態」は、低血糖症が原因かもしれません。

 →次記事:「うつ病と鉄欠乏症 ~無気力・倦怠感の原因は鉄不足??~」

鍼灸症例:頚椎ヘルニアと診断されている首の痛み

 30歳代の男性。首の右後ろから右肩甲骨にかけて痛みを訴えます。
 病院では頚椎ヘルニアだと診断されているそうです。

 天井を仰ぎ見ようと首を後ろに曲げると、右後頚部から右肩甲間に痛みが走ります。
 首の後屈動作が辛いので、うがいをすることが出来ないそうです。

 ちなみに、頭を下げて患部をストレッチするように前屈しても痛みは出ません。
 そして痛みを訴える患部を触診しても、明らかな圧痛はありません。
 痛みを感じる場所に必ずしもトラブルがあるとは限らないのが筋痛のややこしいところです。

 「上を向くと頸椎の隙間が狭くなって神経を圧迫…」なんて洗脳されているのでしょう(^^;
 →カテゴリ:「神経の圧迫で痛みが!?」

 後屈時痛で伸展される側である首の前面の治療をやってみました。
 身体の前面は、陽明(大腸経・胃経)なので、まずは大腸経の右H6をピソマでグリグリ。
 これで後屈時痛は半減しました(10→5)。
 次に胃経の右F6をピソマ刺激。残りの痛みもだいたい良いようです(5→1)。
 まだちょっと違和感があるとのことなので、胃経上の足の甲の圧痛点にピソマ。
 これでスッキリしたようです(1→0)。

 身体は、前後左右上下のバランスで成り立っているのが興味深いです。

 また痛くなってきたら、ご自宅でもピソマ刺激してもらうよう指導して終了です。

 →カテゴリ:★治療院のご案内

うつ病と鉄欠乏症 ~無気力・倦怠感の原因は鉄不足??~

 うつ状態を引き起こす病気は、うつ病だけではありません。
 過剰な糖質の摂取により引き起こされる「低血糖症」でも、うつ状態になります。
 →前記事:「うつ病と低血糖症 ~うつの原因は炭水化物中毒??~」

 うつ状態は、気力・体力ともにエネルギーが低下している状態です。
 無気力で注意力散漫になったり、疲労感・倦怠感で心身が活発になれない状態です。

 このような不活発な状態を引き起こす栄養障害のひとつが、「鉄欠乏症」です。

 体内の鉄分の主な役割には、全身に酸素を運搬するはたらきがあります。
 鉄欠乏になると、倦怠感や疲労感などの酸欠症状が出てきます。
 
 また鉄は、酸素の運搬だけでなく、神経伝達物質の合成にも関わっています。
 不足すると気力の低下や睡眠障害など、脳のはたらきが低下してしまいます。

 鉄欠乏=貧血(ヘモグロビンの減少)だとお思いでしょう。
 しかし、一般的な検査で貧血だと指摘されない「かくれ貧血」でも、これらの症状が出てきます。

 鉄欠乏による症状は、うつ病の症状と非常によく似ているのです!
 うつ病と診断されて抗うつ剤を飲んでもイマイチなあなたは、実は鉄不足かもしれません。
 かくれ貧血(潜在性鉄欠乏症)かどうか、チェックしてもらってください。
 →カテゴリ:「女性の心身と鉄不足」

 →次記事:「うつ病と栄養 ~脳は食べ物から作られている!~」

うつ病と栄養 ~脳は食べ物から作られている!~

 あなたの身体は、あなたが今まで食べてきた物によって作られています。
 心や精神を宿す臓器である「脳」もまた然りです。

 うつ状態を引き起こす栄養の過不足に「糖質の過剰摂取」や「鉄不足」があります。
 →記事:「うつ病と低血糖症 ~うつの原因は炭水化物中毒??~」
 →記事:「うつ病と鉄欠乏症 ~無気力・倦怠感の原因は鉄不足??~」

 その他にも、うつと関わりの深い栄養素が、「葉酸」 です。

 「葉酸」はビタミンBの一種で、レバーや葉野菜などに多く含まれている栄養素です。
 →外部リンク:「葉酸の多い食品と、食品の葉酸の含有量の一覧表」

 葉酸の摂取量が少ない人ほど、うつ症状が強いことが、ほぼ確実だとされています。
 なぜ葉酸とうつが関係するのか?については、実はまだよく分かっていません。
 →外部リンク:「栄養素摂取量とうつ症状との関連: 成人日本人を対象とした横断研究」

 また、腸内細菌(善玉菌)も葉酸を産生しているので、腸内環境を整えておくことも大事です。
 葉酸をサプリで摂るのなら、ビタミンB群を一緒に摂ると効率的です。
 →外部リンク:「【楽天市場】DHC ビタミンBミックス の検索結果」

 葉酸以外では、「オメガ3脂肪酸」も、うつに関連するのでは?と研究されています。
 オメガ3脂肪酸には、炎症を鎮めたり、脳の働きを高めるなどの効果があります。

 「オメガ3脂肪酸」は、イワシやアジなどの青身魚に多く含まれる油です。
 EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などの種類があります。
 →記事:「植物油を摂りすぎると ~慢性炎症・アレルギー・うつ病・動脈硬化~」

 しかし、ただ単に魚油(オメガ3脂肪酸)の摂取量を増やせば良いのではありません。
 それと同時に、植物油(オメガ6脂肪酸)の摂取量を出来るだけ減らす必要があります。
 サラダ油やマーガリン・ショートニングは極力使わないようにすると良いでしょう。
 →記事:「健康に良い油の選び方・使い方 ~シソ油・エゴマ油を使おう!~」

 →次記事:「うつ病と慢性時差ボケ状態 ~不眠はうつ病の原因?結果?~」

鍼灸症例:右手首の痛み ドケルバン腱鞘炎

 70歳代の女性。年末の家事掃除のせいか、右手首の痛みを訴えてご来院です。
 以前も同様の症状で治療を受けて良くなったので、今回もご依頼です。

 痛みを訴える場所は、右手首の親指側周辺です。
 患部に熱感や腫脹はありませんでした。

 親指を握ったまま手首を小指側に曲げる(尺屈)すると痛みが増悪します。
 いわゆるドケルバンの腱鞘炎という症状です。
 この腱鞘炎は、長母指外転筋腱と短母指伸筋腱を包む腱鞘の炎症だと言われています。

 患部を丹念に押さえて調べてみても、そこそこ痛いながらも、激圧痛点は見つかりません。
 患部の周辺が、どことなく痛いそうです。

 このような痛みの発信源を特定できないときには、井穴刺激が役に立ちます^^
 痛みを訴える場所と関連のあるH1・H1’・H6のツボをピソマでグリグリ。

 これで疼痛誘発動作をしてもらうと、痛みが半分くらいに改善(10→5)。
 しかも、曖昧だった痛みの場所が、ココ!というように限局されて感じるようになりました。

 再び患部を調べて見つけた激圧痛点の2カ所に円皮針をペタペタ。
 これで痛みは、なんだか違和感が残る程度に改善(5→1~2)

 ご自宅でもピソマをグリグリ、円皮針をトントンしてもらうよう指導して終了です。

 翌日、たまたまお会いして開口一番、あれからすっかり痛くなくなりました!
 今回の腱鞘炎は、ひどくなる前に早めに治療を受けたのが吉だったみたいです。

 →カテゴリ:★治療院のご案内

うつ病と慢性時差ボケ状態 ~不眠はうつ病の原因?結果?~

 健康な人でも、よく眠れなかった翌日は、身体がだるく、頭が回らなくなりますよね(^^;
 睡眠には、日中の活動で疲れた身体と脳を修復・回復させる役割があります。

 寝付きが悪い。眠りが浅い。途中で目が覚める。早朝に目が覚める。
 そんな不十分な睡眠が続くと、うつ病でない人でも、精神的に参ってきます。

 実は、不眠が続くと脳の回復が追いつかず、うつ病を発症しやすくなるのです!

 うつ病の身体症状のひとつに不眠がありますが、「ニワトリが先か、タマゴが先か」
 不眠とうつ病は、互いに悪影響を及ぼし合う関係なのです。

 現代人が不眠に陥りやすい悪い習慣のひとつに、「夜更かし」があります。
 仕事で帰宅が遅かったり、家族の世話で忙しかったり、ネットに夢中になったり。

 生活時間がズレ込むと、活動モードの交感神経が活発なままで鎮まりにくくなります。
 休息モードの副交感神経が抑えられ、気が高ぶって眠つきにくい状態になってしまうのです。
 →記事:「自律神経のはたらき ~活動の交感神経&休息の副交感神経~」

 また、夜間に光(ブルーライト)を浴びると睡眠を司るホルモンの分泌リズムが狂います。
 自然な眠りを誘うホルモン、「メラトニン」は光を浴びることで分泌されなくなってしまいます。
 →記事:「体内時計の周期を調節する光 ~体内時計が狂いやすい現代生活~」

 夜更かしが続くと慢性的な時差ぼけ状態になり、自律神経やホルモンのリズムが崩れます。
 夜になると調子が良くなるタイプのうつ病の人は、この悪循環に陥りがちです。

 睡眠のトラブルが引き起こす心身の症状は、うつ病の症状と非常に似ているのです。
 もしかしたら、あなたのうつ病は、実は 「睡眠障害」 かも知れません。
 少しでも睡眠を改善できるよう、悪い習慣があれば見直してみてください。
 →カテゴリ:「不眠・睡眠障害・イビキ」

 とくに日中に運動をすることは、睡眠の改善や、萎縮した脳細胞の回復にもつながります。

 →次記事:「うつに効く運動! ~有酸素運動は強力な抗うつ剤~」
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はりきゅう中村@大阪

Author:はりきゅう中村@大阪

 心身相関の考えから、身体の健康とメンタルヘルスに取り組んでいます。より簡単・安全で、より効果的なセルフケア(家庭治療)を紹介しています。
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