「慢性痛」 という病気をご存じでしょうか?
痛みの本来の役割は、「身体の損傷」 を知らせてくれる警告信号です。
私たちは痛みを感じることで、身体に異常が起きたことを知ることが出来ます。
→カテゴリ:「痛みのメカニズム」 「身体の損傷」 を知らせる痛みは、「急性痛」 と呼ばれる痛みです。
痛みを感じなければ身体の損傷に気づかず、手遅れで命を失うかもしれません。
急性痛は肉体の異常を警告してくれる必要な痛みです。
傷が癒えれば痛みも治まる。
それが当然だと思いきや、必ずしもそうとは限りません。
骨折や捻挫・肉離れなどのケガ・損傷が完治した後でも痛みだけが残ることがあります。
そもそも痛みの原因となる損傷が無くても、痛みを感じる病気があります。
原因のない痛み。それが 「慢性痛」 です。
慢性痛は、急性痛の状態がただ単に長引いているだけではありません。
身体のどこかが悪いから痛いのではなく 「痛いという病気」 です。
慢性痛は、もはや警告信号としての役割が無い、全く無意味で不必要な痛みです。
火事が起きてなくても火災警報器が鳴り続いているような誤作動の状態です。
肉体に異常がなくても、脳が痛み感覚を生じさせてしまうのが慢性痛なのです。
急性痛の発症から数ヶ月、激痛では数日で、慢性痛になるおそれがあります。
慢性痛になると、肉体的・精神的にも生活の質が著しく損なわれるようになります。
慢性痛は、レントゲンやMRI、血液検査などでは分からない症状です。
身体の損傷であれば画像で発見できますが、そもそも痛みは目に見えません。
異常なしと診断され、痛みは「心因性」・「精神的なもの」 と誤解されることがあります。
あなたが感じる慢性痛は、心の病ではありません。
慢性痛を治すには、「なぜ痛みが続くのか」 を理解する必要があります。
→次記事:「慢性痛は痛覚過敏症 ~痛くないハズの刺激でも痛い!~」